Basic Approach 古河電工グループのサステナビリティ

トップメッセージ

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古河電工グループ パーパスの制定と決意

2024年度は、古河電気工業株式会社創業140周年の節目の年です。将来の予測が益々難しくなるなか、より迅速に経営の意思決定を行うこと、そして従業員のエンゲージメントを高めることが重要です。また、当社グループが真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業グループとしてステークホルダーに広く認知され、従業員にも誇りと働きがいを感じていただくためには、当社グループのパーパス(存在意義)の明確化と浸透が必要であると考え、2024年3月にグループ理念体系を見直し、古河電工グループ パーパスを制定しました。

パーパスの「『つづく』をつくり」というフレーズは、多少の引っ掛かりを感じることが言葉の意味を考えるきっかけになり、従業員との対話を促す良い仕掛けになっています。「世界を明るくする」には「日本を明るくしたい」という創業者・古河市兵衛の思いも込められています。解釈の自由度や奥行きのある古河電工グループらしい文言となっており、時流に流されない本質を突いた良いパーパスだと思っています。

古河電工グループ パーパスを判断軸にして、未来へつながる「つづく」をつくり、絶え間ないイノベーションであらゆるステークホルダーに価値提供を行い、成長し続けていくという決意を持って経営に臨むことにより、現中計(25中計)やビジョン2030の達成に向けて、目指している結果は自ずとついてくるものと考えています。

社長就任1年目、2030年のありたい姿や中計達成に向けた成果と進捗

2023年度は25中計の折り返し地点である2年目であり、私が社長に就任した最初の年でもありました。業績は残念ながら厳しいものでしたが、2030年の当社グループのありたい姿であるビジョン2030およびそのマイルストンである25中計の達成に向けて着実に進捗した1年でもありました。

「既存事業の収益最大化」については、各領域において残っている課題はありますが、取り組むべき方向性や流れは明確に見えてきたと考えています。特に自動車部品や機能製品関連の事業では、活動の成果が見えてきています。例えば、放熱・冷却システムに関する事業は、AI・データセンタ市場において好調に推移し、旺盛な需要を捉えて伸長しています。また、半導体製造用テープの事業は、既に増産投資を行った三重新工場の2025年度量産開始に向けた準備が予定通り進んでおり、回復が予想される半導体市場での成長が見込まれます。一方、情報通信ソリューションに関する事業では、AI・データセンタ市場の需要伸長に対する対応が遅れたことで、同業他社との業績の差が生じています。通信キャリア向け市場の需要回復を逃すことなく対応していくとともに、光ファイバ・ケーブルや光部品などの拡販を推進して収益拡大を図っていきます。

「新事業創出に向けた基盤整備」については、ビジョン2030の達成やそれ以降の持続可能な成長へと繋がるいくつかの芽が出てきています。これまでの当社グループのコア事業にはなかったグリーンLPガス創出技術、インフラDX(みちてん®、てつてん®)、また、従来と異なる市場への展開を図るインフラレーザ™、核融合発電という魅力的な用途を持つ高温超電導線材など、将来に向けた基盤づくりの成果が出てきています。これら新事業の推進のためには、外部とのパートナーシップが必要です。核融合炉向けの超電導線材の開発に向けた英国トカマクエナジー社との協業は一つの大きな成果だと考えています。

高付加価値で利益のとれる事業・製品群ポートフォリオへの変革

25中計では資本効率重視の経営を推進しており、これまでも投下資本負荷価値額(FVA:Furukawa Value Added)やROICを向上させることを一つの判断軸としていくつかの事業再編等を実行してきました。その一方で、事業部門単位という大きな粒度を意識したことで、製品群単位で強みを持っているか否か、という本質的な視点が不足していたきらいがありました。

そこで、事業における個々の製品群まで精査した上で、「自らの強みを活かす」視点をより強く意識して、グローバル光ファイバ・ケーブル事業やメタル電線事業の再編を決定しました。MFオプテックス株式会社の株式取得・連結子会社化についても、産業用レーザ事業やライフサイエンス事業などの新事業の開発加速に向け、当社グループ全体の技術シナジーを踏まえ「強みを活かす」という視点で決定したものです。

今後も、製品群レベルでの強みを活かせるかを推進・撤退の判断軸の一つとして、付加価値を訴求できる、すなわち利益のとれる製品群・ビジネスモデルへの変革をさらに進めていきます。このような事業・製品群ポートフォリオの見直しを継続的に行いながら利益創出を続けていくことは、中長期的に社会や顧客に求められる事業を続けていくことでもあり、「つづく」をつくるというパーパスと根幹で合致するものと考えています。

ESG経営に向けた基盤強化

非財務要素を将来の財務価値を生み出す可能性のある経営基盤と捉え、25中計ではESG経営の基盤整備に取り組み、順調に進んでいます。

「環境」については、2050年カーボンニュートラルという目標に向けて、サステナビリティ指標である「事業活動における温室効果ガス(GHG)排出量削減率」と「電力消費に占める再生可能エネルギー比率」は計画を上回って推移しています。また、環境目標2030の改定を踏まえ、2024年度からはGHG排出量の基準年を2021年度に変更し、より厳しい削減目標の達成に挑戦していきます。

「社会」については、人材・組織実行力強化に取り組んでいます。「企業は人なり」という考えのもと、パーパスを実現し企業として持続可能であるためには、従業員が適材適所に配置され、個人がやる気を持ち、働きがいを感じ、結果として自分の価値を認識して満足が得られることが重要です。これを見える化したものが「従業員エンゲージメントスコア」であり、2024年度は調査対象範囲を単体から国内外のグループ会社の従業員へと拡大して、より高い目標も掲げながら強化していきます。

「ガバナンス」については、人権デューディリジェンスの実施や人権に関するステークホルダーコミュニケーションを行うなど、人権に対する取組みを着実に進めています。

古河電工グループの持続的成長と変革への思い

当社グループは、これからもすべてのステークホルダーの皆様からさらに信頼され、ご期待いただけるよう、新しい技術・製品・サービスの創出により、事業強化と変革に挑み続けます。2030年のありたい姿であるビジョン2030、足元の25中計の目標達成を目指して諸施策を進めるとともに、古河電工グループ パーパスを軸として、グループ一丸となって「世界を明るくする」ための事業を推進し、夢をもって「つづく」をつくり持続的に成長していく、そのような古河電工グループを目指してまいります。

 

詳細は、統合報告書2024もあわせてご覧ください。

2024年10月

代表取締役社長

森平英也

株式会社ディ・エフ・エフ, サステナビリティ推進室