Basic Approach 基本的な考え方

サステナビリティ戦略

サステナビリティ戦略

古河電工グループのESG経営とマテリアリティ

当社グループは、「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、ビジョン2030)の達成に向け、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指すESG経営を推進しています。当社グループでは、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義し注)、マテリアリティの特定プロセス(後述)に従って、収益機会とリスクの両面でマテリアリティを特定しています。収益機会のマテリアリティは資本効率の向上、リスクのマテリアリティは資本コストの低減に資するものとして、特定したマテリアリティに取り組み、ビジョン2030の達成を目指します。また、マテリアリティと関連性の深いSDGsの達成にも貢献していきます。

2022年度は、「ビジョン2030」の達成に向け、2025年度を最終年とする4か年の中期経営計画「Road to Vision 2030-変革と挑戦-」(以下、25中計)を新たに策定しました。25中計では、「ビジョン2030」からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義しています。

注) 当社グループのESG経営において、「マテリアリティ」は、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題と定義しており、財務・会計上における重要課題(業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある項目)とは、異なる意味で使用しています。

マテリアリティの特定と見直し

収益機会の観点から、当社グループが事業活動を通じて様々な社会課題を解決していくためには、従来のプロダクト・アウトの考え方からアウトサイド・イン・アプローチへの転換が必要不可欠と考え、「社会課題解決型事業の創出」をマテリアリティとして特定しました。その具体例として、ビジョン2030で描く社会の基盤となる「次世代インフラを支える事業の創出」、脱炭素社会・資源循環型社会の実現に貢献する「環境配慮事業の創出」をサブ・マテリアリティとしています。

また、自ら積極的に変革する企業を目指すという思いを表した「Open, Agile, Innovative」と、外部との共創に注力する「多様なステークホルダーとのパートナーシップの形成」を通じて「社会課題解決型事業の創出」を推進し、資本コストを含めた資本効率の向上を推進していきます。

一方、リスクの観点からは、企業が持続的な成長をしていく上で「気候変動に配慮したビジネス活動の展開」は必須であるため、環境(E)のマテリアリティとしました。また、自ら積極的に変革する企業になるための「人材・組織実行力の強化」を社会(S)のマテリアリティ、コーポレートガバナンス、グループガバナンス、サプライチェーンマネジメントおよび人権・労働慣行をサブ・マテリアリティとする「リスク管理強化に向けたガバナンス体制の構築」をガバナンス(G)のマテリアリティとし、ESG経営の基盤を強化し、資本コストの低減を推進していきます。

マテリアリティの特定プロセス

マテリアリティの特定および見直しは、Step1~Step3 のプロセスで行います。まず、Step1では「外部要因」と「内部要因」を参考に社会課題を洗い出し、重複項目を整理した上で項目リストを作成します(現在、29項目に整理されています)。Step2では「株主・投資家にとっての重要度」と「ビジョン2030達成にとっての重要度」の2軸に対して重要度評価(高・中・低)をし、優先順位付けを行います。Step3で、優先度の高い項目をマテリアリティ項目として特定します。特定したマテリアリティ項目は、ビジョン2030達成に向けた重要課題として収益機会及びリスク側面で類型化・再整理し、収益機会のマテリアリティ及びE・S・G各々のリスクのマテリアリティとして表現します。

2023年度のマテリアリティ見直しでは、生物多様性および自然資本に対する昨今の社会的要請の高まりを受け、「生物多様性(陸域/海洋・河川)」を「ビジョン2030達成にとっての重要度」の中領域に評価し直しました。 

2030年に向けた価値創造プロセス

「中期経営計画2022-2025」(25中計)は、ビジョン2030達成に向けたマイルストンとして位置づけられています。2030年におけるありたい姿から遡るバックキャスティングによって示された2025年の姿に向かって、現在からのフォワード・ルッキングの考え方で策定された25中計を確実に実行していきます。25中計では、特定したマテリアリティごとに2025年度の目指す姿を定め、それらを実現する施策を策定するとともに、進捗を測定・管理するサステナビリティ指標・目標を設定しています。

当社グループは、これまで素材力を核とした「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術を強みに、特定市場に限定されない開発力と提案力によって、お客様の信頼を培ってきました。

25中計で設定した財務目標・サステナビリティ目標を達成し、当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために、資本効率を意識した事業の強化と創出を行い、オープンイノベーションや外部パートナーとの共創、知的資産の活用を含めた当社グループの強みを強化し、新しいビジネスモデルの構築を進めます。2025年に向けて、情報・エネルギー・モビリティ分野での収益を安定化させ、社会課題解決型事業の強化を通じて成長し、情報/エネルギー/モビリティの融合社会へ貢献していきます。また、2030年に向かって、ビジョン2030で描く融合社会の基盤となる「次世代インフラを支える事業」、カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーの実現に貢献する「環境配慮事業」などの社会課題解決型事業の創出によって飛躍をしていきます。

事業の強化に関しては、光ファイバ等の需要拡大をとらえ、拡販を進めているローラブルリボンケーブル等の高付加価値製品の売上増を図るとともに、中南米で培ったビジネスモデルの強みを活かしネットワーキングシステム事業をグローバルに拡大していきます。電力ケーブルシステムについては、製造能力や工事施工能力の増強等を進め、国内での電力網強靭化や再生可能エネルギー向けの海底線及び地中線を主なターゲット領域として事業基盤を確立し、収益成長を図ります。また、EV化の加速に伴う自動車の軽量化ニーズの高まりに応えるため、新車種への搭載を着実に拡大しているアルミワイヤハーネスの優位性を活かし、事業拡大と収益性向上を進めていきます。さらに、中長期的には半導体需要の拡大が見込まれることから、半導体製造用テープについて、2025年度の量産開始に向け新工場建設を進めており、製造能力の増強による安定的供給及び高性能・高品質な製品の提供により、売上拡大を目指します。

新事業の創出に関しては、Beyond5G(以下、B5G)社会に向け情報通信トラフィックの増加が見込まれる中、当社のコア技術であるフォトニクス技術及び高周波技術を活かした高機能なフォトニクス製品の開発力と、光通信市場への幅広い対応力を活かし、オール光ネットワークと高効率エネルギー社会の実現に貢献していきます。また、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、化石資源によらないグリーンLPガスの開発・製造を進めてまいります。さらに、次世代のエネルギー源として期待される核融合発電に必要な高温超電導線材の開発・製造により、環境に配慮したクリーンな電力の供給に寄与していきます。

一方、当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために、資本コスト低減に向けた経営基盤の強化も行います。特に、気候変動対応、人材・組織実行力の強化及びガバナンス体制の構築をリスクのマテリアリティとして経営基盤を強化していきます。

持続可能な企業へ変革する上で必須となっている「気候変動に配慮したビジネス活動」を展開し、カーボンニュートラル実現への取組みを加速していきます。また、人的資本の強化を図るため、人材に対するグループ・グローバル共通の考え方である「古河電工グループPeople Vision」に基づき、「人材・組織実行力」の強化に取り組んでいきます。具体的には、従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査を実施し、これをモニタリングツールとして、ダイバーシティ&インクルージョン推進、リーダーシップ変革活動、経営戦略・事業戦略遂行に資する人材の採用・配置・育成施策など、人材マネジメントに関わる取組みを強化していきます。人権マネジメントについては、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の企業の取り組むべき3つの要件に基づき推進してまいります。その中でも「人権デューディリジェンスの実施」としては、従業員と取引先を優先して対応すべきステークホルダーとして、それぞれについて想定される人権上の課題を特定し、課題への改善策や予防策を講じていきます。また、サプライチェーンにおける人権を含めたCSR調達実現のため、「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく自己評価調査(SAQ)について当社から国内外グループ会社の主要な取引先へと段階的に拡大していきます。

株式会社ディ・エフ・エフ, サステナビリティ推進室