Furukawa Electric Group’s Sustainability 古河電工グループのサステナビリティ

社外取締役メッセージ

社外取締役メッセージ

当社グループのパーパスは、持続可能性が根底から問われる世界に対し、時代を超えた価値をもたらし課題を解決することを宣言した大いなる挑戦。

社外取締役 塚本 隆史

社外取締役 塚本 隆史

当社の中期経営計画は2025年度に最終年度を迎えます。これまでの業績は情報通信分野等で計画比未達となっており厳しい決算となりましたが、25中計の先に描いたビジョン2030での「ありたい姿」の実現に向けた取組みについては一定の進捗が見られました。25中計では、情報/エネルギー/モビリティの各領域・融合領域における社会課題解決型事業の強化・創出による成長の実現を掲げていますが、情報通信分野においては、今後の本格的な需要回復を確実に取り込んでいく体勢を構築しつつあります。また自動車部品事業では顧客の高速通信・高出力化等の課題解決を図り、機能製品事業においては高機能・差別化製品により新しい分野、顧客の獲得を推進しています。

当社の取締役会では、グループの成長と収益の安定化・拡大を図っていくために、各事業軸での重要戦略を策定し、地域軸も考慮しながら、ありたい事業ポートフォリオ構築に向け成長領域の見極めや事業再編等について議論する場面が増えており、中計さらにはビジョン2030達成に向けてコーポレートレベル並びに各事業部門レベルにおいては前向きなモメンタムが生まれつつあると感じています。実際の取締役会では、社外取締役は事前説明会の活用等も行い、多様なバックグラウンドに基づく新たな視点を執行側に提示することを心掛けながら、活発で真剣な議論を展開しています。

また人的資本については、25中計では個人と組織がともに実行力を向上させ成長するとともに、ビジョン2030を達成するために必要な経営戦略・事業戦略を実行しうる人材の獲得・定着を目指し後継者育成を行っています。昨年度には全部長職のサクセッションプランと育成計画の確定を終えましたが、今年度は課長職についても取組みを拡げる計画です。

2024年3月に制定したパーパスの副文には、「よりよい未来へとつながる『つづく』を、絶え間ないイノベーションで、つくり、支える。」と謳われています。私たちにとってこのパーパスは、持続可能性が根底から問われ始めている世界に対し、当社グループが時代を超えた価値をもたらし課題を解決することを宣言した大いなる挑戦です。未来に向けて「つづく」をつくることは、時代を先取りして自らが変革し続けることによってはじめて可能となるものであり、私たち一人ひとりが強い当事者意識と覚悟をもって邁進していく所存です。

コンプライアンス・リスクマネジメント体制の構築が経営の根幹。何事にも正義を追い求める姿勢がなければ企業の繁栄はない。

社外取締役 御代川 善朗

社外取締役 御代川 善朗

2023年度は、森平社長への社長交代がありました。後継者プランは私が委員を務める指名・報酬委員会の最も重要な議題であるため、公正性と透明性を十分に担保して、時間をかけて丁寧に指名プロセスを実行しました。指名・報酬委員は真剣な意見交換を通じて新社長を含む候補者の理解を深められ、新社長も心の準備をしてスタートを切れたのではないだろうかと推察します。

さて、25中計の進捗と今後について触れておきます。当社は多くの事業を抱えていますが、どれも大切な事業であり、既存事業で発見された新技術が新領域分野に応用され新しいビジネスを生み出すこともあります。しかしながら、資本効率性を考えるとすべてを残すだけの余裕はなく、事業ポートフォリオ戦略により選択と集中の方針を決定することになります。情報通信ソリューション事業は、AI・データセンタ市場に価値を提供できる事業領域であり、この成長性の高い市場を攻めるために戦略を練り直していきます。エネルギー、モビリティ領域も収益を安定化させて、社会課題解決型事業として成長し、社会に貢献していきます。

当社は100年以上の歴史を持つ企業です。創業者をはじめ多くの社員の努力で厳しい状況にも打ち勝ってきました。パーパスにも創業以来、誠実に磨き続けた技術力と提案力が強み、とあります。一方で最近世の中では、不祥事の発覚により、企業が長年積み重ねた努力や社会の信用が損なわれる事例が多くなっています。当社はコンプライアンス・リスクマネジメント体制の構築を経営の根幹に据えており、取締役会でも重要議題となっています。当社およびグループ会社のガバナンスはリスクマネジメント本部を中心に品質管理推進室などと連携して行われており、「バッドニュース・ファースト」を奨励して取締役会に報告されています。このような取組みにより、風通しの良い組織風土を追求し、社員自ら正しいことを行う意識を浸透させることが組織力の強化には大切です。何事にも正義を追い求める姿勢がなければ企業の繁栄はないと考えます。社外取締役としても、善管注意義務を果たすために、常にこうしたことを意識しています。

パーパスを軸としたサステナブルな事業成長と一人ひとりのモチベーション向上に期待。女性活躍に留まらず継続的にDE&Iの意識も高めていく。

社外取締役 籔 ゆき子

社外取締役 籔 ゆき子

この1年、森平新社長の下で、足元の事業収益改善の取組みに加え、事業ポートフォリオの最適化が着実に進められています。例えば、主力事業の1つである北米での情報通信事業を再構築し、成長市場であるAI・データセンタに関連する新たな顧客拡大に向けマーケティング活動を強化するなど、収益機会のターゲットを絞り込み、果敢に攻める体制に変革しつつあると感じています。

取締役会では、これら中長期の経営課題やリスクについて、多様な専門性を持った社外役員の知見も交えつつ、率直で活発な議論がなされています。さらに社外役員が十分に課題を理解し議論を尽くすために、取締役会とは別に、執行側との自由な意見交換会が設けられているのもよい取組みだと思います。また、指名・報酬委員会では、 CEOサクセッションに社外取締役がしっかりとコミットすると共に、役員報酬については明確な決定方針を開示し透明性を確保しています。いずれにおいても社外役員と執行側がよい緊張感を持って建設的な議論を行ったうえで実行に繋げられており、当社のガバナンスは実効的に機能していると思います。

また今回新たに当社グループのパーパスが制定されました。その過程では海外やグループ会社の従業員も多数参画し、社会を支える役割を担う当社グループの存在意義について、十分な議論が尽くされました。今後、パーパスを起点に多様なコミュニケーションが創発され、迷った時にはパーパスに立ち戻って考え、サステナブルな事業成長と一人ひとりのモチベーション向上に繋がることを期待しています。
また私は女性の取締役として、女性管理職への登用・育成などの支援も積極的に行っています。講演や懇談を通じて、私自身の経験談や社外の状況をお話することでマインドセットの変化を促し、女性活躍に留まらず、継続的にDE&Iの意識を高めていきたいと思っています。

25中計およびビジョン2030の実現に向けては、気候変動対応とエネルギー消費の増大といった相反する社会課題に、当社の様々な技術が大きく貢献できると思います。当社には長い歴史の中で培われた堅実で誠実な素晴らしい社風があります。一方、社会やお客様のニーズを先回りして提案し、自ら市場を創造する挑戦的な企業風土、多様な人財の育成、事業創出への組織基盤強化は喫緊の課題であり、ぜひスピード感を持って取り組んで欲しいと思います。
引き続き、経営の適切なモニタリングや積極的な後押しをすることで、ステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。

「ものづくり」企業の価値が低く評価されがちな風潮の中で、当社が製造業の価値の復権をリードすることに期待。

社外取締役 斎藤 保

社外取締役 斎藤 保

これまで事業ポートフォリオの最適化に関しては、いつまでにやるのかということが不明確でしたが、25中計では具体的な時間軸が検討されるようになり、今後も収益性を最大化するための事業再編が加速すると予想しています。一方で、単一の技術・製品だけでは、売上や収益を伸ばすことは難しくなってきていることから、マーケットや技術動向に合わせた新たなビジネスモデルも必要です。当社の強みである4つのコア技術とそれを製品化する「ものづくり力」、そして自社開発の設備や生産改革活動により、成長加速領域である情報/エネルギー/モビリティと新領域において新たなビジネスモデルを構築することを期待しています。

当社の取締役会は異なったスキルを持つ取締役で構成されており、執行役員および担当事業部門長とは取締役会や意見交換会のみならず、研究発表会・工場見学会などの社内のイベントを通じて日頃から議論を深めています。また、サクセッションプランおよび報酬制度についても多様な議論を通じて制度設計・変更がなされており、高い透明性が確保されているものと考えています。

今回新しく制定されたパーパスについては、非常に高く評価しています。多数の社員が関わって作り上げたと伺っていますし、社会や産業のインフラを支える企業として「つづく」をつくることにこだわり、世の中のサステナビリティに貢献することが社員のモチベーションアップにつながると感じています。そして、ともすれば「ものづくり」企業の価値が低く評価されがちな風潮の中で、当社が製造業の価値の復権をリードすることを期待しています。
パーパスに加えて、当社には創業者の思いである「3つの大切」(従業員を大切にせよ。お客様を大切にせよ。新技術を大切にせよ。)のDNAが浸透しています。この「3つの大切」を重視して世の中の「つづく」をつくることが、業績の向上にもつながっていきます。株主および投資家の皆様には、これからの当社のパーパス実現に向けた取組みや情報発信に注目していただきたいと思います。

先端技術分野でのオンリーワンへの挑戦に期待。政府との連携も強化し、コア技術の骨太化に取り組んでいただきたい。

社外取締役 星野 岳穂

社外取締役 星野 岳穂

私は2024年6月に社外取締役に就任しました。現在、古河電工グループの経営方針および事業内容について日々理解を深めていますが、今後も、執行役員の方々との議論や、国内事業所や研究所の訪問における意見・情報交換を行いつつ、自身の行政経験や大学での研究者としての立場・経験を活かし、当社の経営戦略に対する意見を進言していくよう、心がけてまいります。
これまで環境・エネルギー分野に深く関わってきた経験から、国際的な潮流が加速し続けているカーボンニュートラルの実現と同時に、それとコインの裏表の関係にある「サーキュラー・エコノミー」の実現の重要度も増していると思っています。この両方の課題の克服こそが、世界の持続可能な社会を将来に繋いでいくために必要です。サーキュラー・エコノミーの実現の鍵を握るのは、情報網による資材のトレーサビリティであり、当社が培ってきた情報通信関連技術を今こそ結集することで、国際社会への貢献ができるものと期待しています。

本年3月に制定されたパーパス「『つづく』をつくり、世界を明るくする。」は、この簡潔な表現の中に、当社グループの持つ幅広い分野の先端技術・製品を組み合わせてイノベーションを起こし、将来に向けて持続可能な成長を実現するという力強いリーダーシップの思いが込められていると感じました。そのためには、当社が競争優位性を持つ技術の選択について不断の検討を進めることが肝要です。世界の様々な動向を精緻に収集し、天然資源の供給状況やサプライチェーンの危機回避にも迅速に対応する体制が必要です。

当社は、様々な改革を経て近年業績は回復傾向にありますが、この改革における社内での努力は大変なものであったと拝察します。ここで今一度兜の緒を締め、先端技術分野でのオンリーワンへの挑戦に期待しています。各事業領域には様々なコア技術が存在しますが、特に「核融合炉向け高温超電導線材」など近未来の有望分野に対する最先端技術での取組みが印象的です。政府との連携も強化し、ぜひともコア技術の骨太化に取り組んでいただきたいと思っています。

2024年10月

関連データ

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