経営戦略・事業戦略の実現と、多様な人材の挑戦と成長を支援する両面の観点から、各種教育・研修や施策を展開しています。
事業戦略を実現するために組織と個人、双方の成長の観点から必要とされる能力・スキルと現状とのギャップの可視化、および能力・スキル獲得に向けた仕組みづくりについて、経営層や各組織と議論し、当社グループのリスキリングの定義を「新規・既存問わず、業務遂行において必要な知識・スキルを自律的に学ぶこと」としました。
具体的には、個人のスキル習得・成長のプロセス(下図)を支援するために、「一部の個人が、決まったタイミングと回数と場所で、全員で一律のスキルを学ぶ環境」から、「個人が、いつでも、どこでも、何度でも、多種多様なスキルを学ぶことができる環境」へ変更し、その機会提供を可能にする新たなEラーニング・システムを2024年度に全社導入しました。これにより、個人がいつでも多種多様なスキルを学習できるコンテンツを提供し、さらに従来の各種研修カリキュラム(階層別・部門別・プロジェクト別)と連携することや、職場や組織の垣根を超えた学び合いの機会を創出することなど、個人の自律的な学びの支援を進めていきます。
「グローバルビジネスリーダー(GBL)研修」を2006年度から開始し、2013年度からは、グローバル人材育成の観点を強化した「グローバルマインドセットプログラム(GMP)」に衣替えして継続実施しています。また、海外の現地従業員を対象に「グローバルデベロップメントプログラム(GDP)」を2010年度から実施しており、グループの結びつきの強化を狙って、一部のカリキュラムをGMPと合同で実施しています。さらに、2014年度からは一定期間にわたり若手従業員を海外に派遣する「グローバル・チャレンジ・プログラム(GCP)」を開始し、多様な人材の確保と成長の場を提供しています。
チームで成果を上げる組織を実現するためには、指導役以外の人も含めた職場の育成力向上が不可欠と考え、新入社員を受け入れる全職場に対し「人が育つ組織づくり研修」を提供しています。
一般的にOJT 教育といえば、新入社員の戦力化を目的として、指導役と課長が業務の指導とフォローに奔走するケースが多いと考えています。しかしながら、当社のOJT支援は指導役やメンターを置かず、「OJTリーダー」という「アレンジャー役」を任命し、OJTリーダーが全チーム員を巻き込んで議論することで、組織としての教育体制をつくり上げていくことを目的としています。また、組織としての教育体制を作り上げるために、年間4回の研修を設けて、スキル付与やOJTリーダー同士の悩み・好事例を共有することで、OJTのPDCAサイクルを1年かけて回す機会を提供しています。2021年からはキャリア採用等の事例も増えており、新入社員受入職場以外でも公募制で「指導育成力 強化研修」として新入社員受入職場以外でも同様のOJT支援を行っています。
2021年度にキャリアサポート室を立ち上げ、年代・階層別のキャリアデザイン研修やキャリア形成に役立つセミナーの開催、個別のキャリア面談実施など、既存の人事制度と連携しながら従業員の自律的キャリア形成を支援する取組みを行っています。
2021年度より社内副業制度を運用開始しており、業務の20%を上限に、自ら手をあげて興味のあるプロジェクトに参加することで、自身の成長・やりがい・キャリア形成に結び付けてもらう仕組みとしています。制度が始まって以来、48プロジェクト、112名が参加し、本人のモチベーション向上とともに、受け入れ部門・送り出し部門の双方に良い刺激や影響を与えています。
従業員の自律的なキャリア実現を加速させるため、従業員が自ら手をあげ異動することが可能な社内公募制度を2023年度より試行導入し、社内求人数57件に対して応募者数34名、マッチング数10名となりました。この結果を踏まえ、2024年度に本格導入を開始しました。