当社グループは、気候関連リスクおよび機会が経営上の重要課題(マテリアリティ)であるという認識のもと、2020年1月に気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures, TCFD)への賛同を表明しました。また、TCFD 提言へ賛同する企業や金融機関などが一体となって取組みを推進し、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関などの適切な投資判断に繋げるための取組みについて議論する場として設置されたTCFDコンソーシアムにも参画しています。
2019年度は、環境省が実施する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」にも参加しました。
今後も、持続可能な社会の実現に向け、TCFDを活用し、ステークホルダーの皆様との信頼関係の強化につなげていきます。
TCFDは、G20の要請を受け、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、金融安定理事会(FSB)により、2015年12月に設立され、2017年6月に最終報告書を公表しました。企業などに対し、気候関連リスクおよび機会に関する下記の項目について開示することを推奨しています。
ガバナンス | 気候関連のリスクと機会に関する組織のガバナンスを開示する。 | a) 気候関連のリスクと機会に関する取締役会の監督について記述する。 |
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b) 気候関連のリスクと機会の評価とマネジメントにおける経営陣の役割を記述する。 | ||
戦略 | 気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響と潜在的な影響について、その情報が重要(マテリアル)な場合は、開示する。 | a) 組織が特定した、短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会を記述する。 |
b) 気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響を記述する。 | ||
c) 2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオを考慮して、組織戦略のレジリエンスを記述する。 | ||
リスク管理 | 組織がどのように気候関連リスクを特定し、評価し、マネジメントするのかを開示する。 | a) 気候関連リスクを特定し、評価するための組織のプロセスを記述する。 |
b) 気候関連リスクをマネジメントするための組織のプロセスを記述する。 | ||
c) 気候関連リスクを特定し、評価し、マネジメントするプロセスが、組織の全体的なリスクマネジメントにどのように統合されているかを記述する。 | ||
指標と目標 | その情報が重要(マテリアル)な場合、気候関連のリスクと機会を評価し、マネジメントするために使用される指標と目標を開示する。 | a) 組織が自らの戦略とリスクマネジメントに即して、気候関連のリスクと機会の評価に使用する指標を開示する。 |
b) スコープ1、スコープ2、該当する場合はスコープ3のGHG排出量、および関連するリスクを開示する。 | ||
c) 気候関連のリスクと機会をマネジメントするために組織が使用する目標、およびその目標に対するパフォーマンスを記述する。 |
気候関連のリスクと機会に関する組織のガバナンスを開示する。
a) 気候関連のリスクと機会に関する取締役会の監督について記述する。
b) 気候関連のリスクと機会の評価とマネジメントにおける経営陣の役割を記述する。
当社グループでは、2018年度よりESG経営への取組みを加速させ、取締役会、経営会議およびサステナビリティ委員会で、以下に示す気候変動に関係する議論を拡充させています。また、取締役会には、気候変動に関する進捗状況を四半期ごとに報告・共有しています。
2021年2月 | 古河電工グループ環境ビジョン2050策定 |
2022年5月 | サステナビリティ指標・目標の設定 |
2023年3月 | 2025年度サステナビリティ目標の一部(温室効果ガス排出量削減率(スコープ1、2)および電力消費量に占める再生可能エネルギー比率)の改定 |
2019年1月 | 環境目標2030設定とSBT(2℃)認定申請 |
2020年1月 | TCFD賛同と国連グローバル・コンパクト署名 |
2020年12月~2021年2月 | 古河電工グループ環境ビジョン2050策定 |
2021年11月~2022年2月 | 環境目標2030改定とSBT(WB2℃)認定申請 |
2022年12月 | 環境目標2030改定とSBT(1.5℃)認定申請 |
2022年3月 | サステナビリティ指標・目標の設定 |
2023年3月 | 2025年度サステナビリティ目標の一部(温室効果ガス排出量削減率(スコープ1、2)および電力消費量に占める再生可能エネルギー比率)の改定 |
気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響と潜在的な影響について、その情報が重要(マテリアル)な場合は、開示する。
a) 組織が特定した、短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会を記述する。
b) 気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響を記述する。
c) 2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオを考慮して、組織戦略のレジリエンスを記述する。
中期 | 2025年度まで | 中期経営計画2022-2025、サステナビリティ目標の達成年度までの期間 |
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長期 | 2030年度まで | ビジョン2030、環境目標2030達成年度までの期間 |
超長期 | 2050年度まで | 環境ビジョン2050達成年度までの期間 |
区分 | 特定した気候関連リスク・機会の項目 | 事業への 影響度 |
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1.5℃ | 4℃ | ||||
リスク | 移行リスク | 政策・規制 | ・GHG排出への炭素税課税 | 大 | 小 |
市場 | ・再エネ調達コストの増加 ・素材(銅・アルミ・樹脂)への炭素税課税による調達コストの増加 |
大 | 小 | ||
物理リスク | 急性 | ・異常気象による大規模災害(大型台風、豪雨、豪雪、落雷)による建物被害 ・気候災害等による納入先、調達先のサプライチェーンの寸断 |
小 | 小 | |
・洪水・渇水による沿岸部工場の操業停止 | 中 | 大 | |||
慢性 | ・平均気温上昇による空調コストの増加 | 中 | 大 | ||
機会 | 市場 | ・スマートシティの普及や通信トラフィック急増に伴う5G/B5G(Beyond 5G)整備加速による売上・収益増 ・情報通信、半導体メモリ、5G・スマホ関連製品需要増加による売上・収益増 ・再エネの普及に伴う基幹系送電網増強、海底ケーブル需要増加による売上・収益増 ・自動車電動化・軽量化に伴う製品需要増加による売上・収益増 |
大 | 中 | |
製品およびサービス | ・カーボンニュートラル、サーキュラー・エコノミー対応要請に伴う低・脱炭素化製品・リサイクル製品の要求増による販売増 | 大 | 中 |
注) 地産地承:地域の資源や文化を次世代に承継すること
組織がどのように気候関連リスクを特定し、評価し、マネジメントするのかを開示する。
分類 | リスク項目 | リスクの内容 | 主要な取組み | 影響度 | 発生可能性 |
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経営視点リスク | 気候変動(カーボンニュートラル) |
|
|
大 | 大 |
災害・感染症等の影響 |
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|
大 | 中 |
詳細は、当社ホームページ「事業等のリスク」をご覧ください。
拠点 | 対象 | 主要な対策 | |
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単体 | 平塚事業所 | 大雨 | 雨水貯水池の整備 排水系統の定期的な清掃や、バイパス設置による排水能力増強 工場内浸水防止対策のための工場屋根の耐水工事実施 |
日光事業所 | 大雪 | 工場建屋の損壊防止対策として補強工事の計画実施 工場屋根への積雪防止対策として電熱ヒータなどの融雪設備導入 |
その情報が重要(マテリアル)な場合、気候関連のリスクと機会を評価し、マネジメントするために使用される指標と目標を開示する。
a) 組織が自らの戦略とリスクマネジメントに即して、気候関連のリスクと機会の評価に使用する指標を開示する。
b) スコープ1、スコープ2、該当する場合はスコープ3のGHG排出量、および関連するリスクを開示する。
c) 気候関連のリスクと機会をマネジメントするために組織が使用する目標、およびその目標に対するパフォーマンスを記述する。
指標 ★:サステナビリティ指標 |
単位 | 実績 | |||||
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2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
★環境調和製品売上高比率 | % | 32.6 | 40.5 | 56.2 | 58.2 | 61.9 | 65.0 |
★温室効果ガス排出量(スコープ1,2) | 千t-CO₂e | 903 | 843 | 742 | 648 | 640 | 571 |
★電力消費量に占める再生可能エネルギー比率 | % | 7.9 | 8.9 | 11.0 | 10.2 | 10.9 | 20.2 |
温室効果ガス排出量(スコープ3) | 千t-CO₂e | 1,636 | 1,689 | 4,735 | 4,161 | 4,680 | 4,458 |
指標 ★:サステナビリティ指標 |
基準 年度 | 目標 ( )は参考値 | チャレンジ目標 | |||
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2022年度 | 2023年度 | 2025年度 | 2030年度 | 2050年度 | ||
★環境調和製品売上高比率 | - | 64% | 66% | 70% | - | - |
★温室効果ガス排出量削減率(スコープ1,2) | 2017年度 | △17.7% | △21.2% | (△42%)注1) | (△59%)注1) | 排出量ゼロ |
2021年度 | - | - | △18.7%注2) | △42%注2) | ||
★電力消費量に占める再生可能エネルギー比率 | - | 11.5% | 12.0% | 30%注3) | - | - |
温室効果ガス排出量削減率(スコープ3) | 2019年度 | △4% | △6% | - | - | - |
2021年度 | - | - | △11%注2) | △25%注2) | - |
注1) 基準年を2021年度に変更しましたが、従来の2017年度基準に当てはめた場合の削減目標も参考値として示しています。
注2) 2022年度に環境目標2030を改定し、それに伴い、2025年度目標も改定しました。
注3) 環境目標2030の改定に伴い、再生可能エネルギー比率の2025年度目標値も引き上げました。
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||||||
CO₂ | 148 | 148 | 139 | 115 | 121 | 116 | |||||
SF6 | 90 | 49 | 32 | 28 | 7 | 37 | |||||
スコープ1 | 238 | 197 | 172 | 143 | 128 | 153 | |||||
スコープ2 | 665 | 646 | 570 | 504 | 512 | 418 | |||||
スコープ1,2の合計 | 903 | 843 | 742 | 648 | 640 | 571 | |||||
上流 | カテゴリー1注) | 購入した製品・サービス | - | - | 2,493 | 1,656 | 1,829 | 1,855 | |||
カテゴリー2 | 資本財 | - | - | 187 | 158 | 134 | 154 | ||||
カテゴリー3注) | スコープ1,2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 | - | - | 112 | 94 | 123 | 110 | ||||
カテゴリー4注) | 輸送、配送(上流) | - | - | 73 | 126 | 207 | 323 | ||||
カテゴリー5 | 事業から出る廃棄物 | - | - | 22 | 21 | 22 | 18 | ||||
カテゴリー6注) | 出張 | - | - | 7 | 6 | 57 | 12 | ||||
雇用者の通勤 | - | - | 23 | 23 | 24 | 24 | |||||
カテゴリー8 | リース資産(上流) | - | - | 7 | 6 | 7 | 9 | ||||
下流 | カテゴリー9注) | 輸送、配送(下流) | - | - | 11 | 9 | 141 | 9 | |||
カテゴリー10 | 販売した製品の加工 | - | - | - | - | 17 | 16 | ||||
カテゴリー11注) | 販売した製品の使用 | - | - | 1,720 | 1,980 | 1,575 | 1,587 | ||||
カテゴリー12注) | 販売した製品の廃棄 | - | - | 50 | 51 | 57 | 63 | ||||
カテゴリー13 | リース資産(下流) | - | - | 2 | 3 | 4 | 4 | ||||
カテゴリー14 | フランチャイズ | - | - | - | - | - | - | ||||
カテゴリー15注) | 投資 | - | - | 28 | 28 | 283 | 274 | ||||
スコープ3注) | 1,636 | 1,689 | 4,735 | 4,161 | 4,480 | 4,458 | |||||
スコープ1,2,3の合計 | 2,539 | 2,532 | 5,477 | 4,808 | 5,120 | 5,029 |
注) 2023年度に算定方法を見直し、2021年度の遡って再計算しました。