当社グループは、「古河電工グループ パーパス」および「Core Values」に基づき、グローバルな事業展開を進めるにあたり、自らの事業活動に影響を受けるすべての人びとの人権が尊重されなければならないことをよく理解し、人間の尊厳と国際的に認められたすべての人権を尊重します。また、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」が企業に求める「人権方針の策定」「人権デューディリジェンスの実施」「救済メカニズムの構築」に沿った人権尊重の取組みを推進しています。
当社グループは、「国際人権章典」(世界人権宣言と国際人権規約)、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」および国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に従い、2020年1月27日に「古河電工グループ人権方針」を策定しました。また、2024年の「古河電工グループ パーパス」制定に伴い、人権方針の前文の一部を2024年3月に改正しました。
当社グループは、人権を含むサステナビリティに関する課題について、サステナビリティ委員会で審議し、取締役会に提案・報告しています。
人権に関する取組みは、戦略人事部、リスク管理部、サステナビリティ推進室で構成する「人権WG」で定期的に話し合い、その結果をサステナビリティ委員会に報告して取組みに反映しています。
2022年のサステナビリティ委員会では、3月にマテリアリティである「リスク管理強化に向けたガバナンス体制の強化」のサブマテリアリティとして「人権・労働慣行」を追加し、同年5月の取締役会に報告しました。また、2024年のサステナビリティ委員会では、3月に人権のリスク評価に関して意見交換を行いました。また、9月に人権デューディリジェンスのスパイラルアップを目的として、ステークホルダーエンゲージメント(弁護士、労働組合)の実施、サプライチェーンにおける人権課題の対応を報告しました。2025年のサステナビリティ委員会では、3月に人権リスクマップの再評価に基づく取組み内容の更新と責任ある鉱物調達の対応状況を報告し、意見交換を行いました。
人権尊重の取組みにおいては、「管理職に対する人権リスクに関する教育実施率」と「主要取引先に対するCSR調達ガイドラインに基づくSAQ実施率」を目標に掲げ、従業員およびパートナー※向けの活動を推進しています。
なお、これらは「古河電工グループ ビジョン2030」および「中期経営計画2022-2025(25中計)」の達成に向けたサステナビリティ指標と目標に設定し、活動推進を図っています。
※ 当社グループでは、お取引先様を、価値を共創する「パートナー」とお呼びしています。
●管理職に対する人権リスクに関する教育実施率(グループ): 各年度100%維持
●主要取引先に対するCSR調達ガイドラインに基づくSAQ実施率(グループ): 2025年度 100%
当社グループでは、強制労働や児童労働、差別などの人権に対する社会的要請の変化や、サプライチェーン全体における人権への関心の高まりを受け、2021年度から人権デューディリジェンスを開始しました。当社グループの人権課題として優先すべき対象ステークホルダーについては、従業員およびパートナーを設定しています。
2024年度は、より正確に人権リスクを把握するため、深刻度と発生可能性の評価区分細分化により、各々の対象について人権リスクの再評価を行いました。その結果、従業員に対しては、これまでの職場でのハラスメントに加えて、強制労働・児童労働、労働安全衛生を改めて優先すべき人権課題として再認識しました。取引先に対しては、強制労働・児童労働、労働安全衛生を再認識しました。
なお、これらの人権課題の特定にあたっては、専門弁護士や従業員を代表する労働組合と対話を行っており、特に労働組合とは負の影響の防止・低減に向けて継続的にコミュニケーションを図っています。
従業員 | パートナー |
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毎年10月~11月に実施している「コンプライアンス月間」の活動の中で、全従業員に対し、人権に関する教育を実施しています。
また、2024年度に再認識された優先すべき人権課題については、以下のような取組みを行っています。
従業員に対して、コンプライアンス意識調査を実施しています。コンプライアンス意識調査の結果や内部通報の内容等を分析し、必要な改善策を講じています。また、改善策の効果検証を行うとともに、各部門の責任者と結果について対話を行い、必要に応じてさらなる改善を行うなど、継続して取り組んでいきます。
当社グループ全体で法令違反のないことを定期的に確認するとともに、発生防止に努めています。
ゼロ災の達成をはじめ、各職場でさまざまな目標を掲げ、労働安全衛生に関する各種課題の防止・低減に取り組んでいます。
コンプライアンス意識調査の結果を踏まえた改善策の一つとして、2022年度から当社および当社グループの管理職層を対象とした差別・ハラスメント防止教育を実施しています。なお、この教育実施率は、「古河電工グループ ビジョン2030」および「中期経営計画2022-2025(25中計)」の達成に向けたサステナビリティ指標と目標に設定されています。2024年度は、目標である100%実施を達成しています。
特に責任ある鉱物調達の観点から、対象鉱物として取扱量が多い「銅」も含めた調査を行い、2024年度に課題として再認識した強制労働・児童労働や労働安全衛生も含めた負の影響を低減する取組みを進めています。
また、2021年度より、主要パートナーに対しては、労働者の人権尊重などを含む「古河電工グループCSR調達ガイドライン」の内容に沿ったSAQ(Self-Assessment Questionnaire/自己評価調査票)を実施し、サプライチェーン上の人権リスクの把握に取り組んでいます。
なお、このSAQ実施率は、「古河電工グループ ビジョン2030」および「中期経営計画2022-2025(25中計)」の達成に向けたサステナビリティ指標と目標に設定されています。2024年度は目標の70%に対して84%を達成しており、2025年度までに100%を目指していきます。
なお、2024 年度末時点では、本調査の結果で人権に負の影響を与える重大な問題は発見されていません。
人権に与える影響に関する通報窓口として、内部通報制度を整備しています。社内通報窓口と第三者機関を利用した外部通報窓口(古河電工グループ・ホットライン)を設置しており、どちらの窓口も匿名での通報が可能です。通報内容は、内部通報事務局が厳重に管理し、通報者が不利益を被ることがないよう十分に配慮しなから、迅速に調査し、適切に対応しています。また、通報の内容によっては外部の専門家に意見を求め、公平性が担保できる体制を構築しています。さらに、海外グループ会社用の第三者機関を利用した外部通報窓口も設置しています。誰もが安心して声を上げられるよう、内部通報制度の整備・運用に努めています。
なお、2024年度の当社グループの内部通報件数は158 件でした。そのうち、約半数は人事労務関連です。ただし、内部通報の指摘どおりの事実と判明したものは限定的であり、指摘の一部が事実と判明したものも含め、いずれも再発防止策を実施して是正済です。
社外のステークホルダー向けには、人権に関する苦情通報窓口として、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)のCSR 委員会が中心となって設立された「一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構」(JaCER)を活用しています。
当社グループでは、毎年度、複数の投資家と対話を実施しています。本対話を通じて、人権デューディリジェンス、サプライチェーンマネジメントなどの人権に関する課題や期待などに関しても貴重なご意見を頂いています。
また、 2024年度は人権課題の再特定にあたり、専門弁護士と労働組合との対話を行いました。
さらに労働組合とは、「中央経営説明会」や「人権デューディリジェンスに関する中央労使委員会」のほか、日常的な対話を通じて、労働慣行やハラスメント等の各種課題に関する継続的なコミュニケーションを図っています。
これらの対話により、ステークホルダーとのエンゲージメント向上を図るとともに、得られた学びを施策に反映し、さらなる負の影響の防止・低減につなげていきます。
当社グループは「子どもの権利条約」や「子どもの権利とビジネス原則」を支持しており、子どもの権利を尊重しています。また、「古河電工グループ社会貢献基本方針」に則り、次世代育成を軸に、地域の小中高等学校への教育支援など子どもの権利実現に向けた社会貢献活動にグローバルで取り組んでいます。
なお、当社は公益社団法人日本ユネスコ協会連盟の維持会員です。
「国連グローバル・コンパクト」の10原則には、人権擁護の支持・尊重、人権侵害への非加担、強制労働の排除、児童労働の廃止など「人権」に関わる原則が含まれています。当社グループは、2020年に「国連グローバル・コンパクト」に署名しました。同時に、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンに参画し、人権関連の分科会(人権デューディリジェンス分科会)にも参加しています。