Environment 環境

気候変動への対応

気候変動

基本的な考え方

当社グループは、環境ビジョン2050に「脱炭素社会への貢献」を掲げ、バリューチェーン全体で温室効果ガス排出量ネットゼロを目指しています。

目標

当社グループでは「環境目標2030」において、脱炭素社会への貢献として、温室効果ガス排出量の削減目標を掲げています。この目標は2023年7月にSBT1.5℃の認定を受けています。

環境目標2030:脱炭素社会への貢献

●事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1、2) :2021年度比42%以上削減
●バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量(スコープ3) :2021年度比25%以上削減

取組み

当社グループでは、事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1,2)の削減や、再生可能エネルギーの利用、工場での省エネ、物流でのCO₂排出量削減に取り組んでいます。また、気候変動に関する物理的リスク(大雨等)に対する適切な対策を行っています。今後もさらなる温室効果ガス排出量削減に取り組んでいきます。

温室効果ガス排出量の削減

2024年度の当社グループの事業活動における温室効果ガス排出量は、スコープ1は108千t、スコープ2は309千tの合計417千tで、2021年度と比較し35%減少しました。なお、当社グループのスコープ1は主にエネルギー起源によるCO₂と、高電圧試験設備に使用されている六フッ化硫黄(SF₆)です。また、バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量(スコープ3)は、主にカテゴリー1「購入した製品・サービス」とカテゴリー11「販売した製品の使用」が高い割合を占めています。2024年度のスコープ3排出量は合計4,087千tで、2021年度と比較し9%減少しました。

当社グループの温室効果ガス排出の状況

(注) 1.温室効果ガス排出係数は環境省の「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を参照しています。海外の購入電力に係る排出係数は、各国の公的機関が公表する排出係数を使用しています。
2.CO₂以外の温室効果ガス排出量は、IPCCが示す地球温暖化係数(GWP: Global Warming Potential)を使用し、CO₂相当の排出量に換算しています。
3.バリューチェーン排出量(スコープ3)の算定にあたっては、環境省および経済産業省が発行する「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する 基本ガイドライン」に則り算定しています。一部カテゴリーの排出係数は産業技術総合研究所により開発されたLCIデータベース「AIST-IDEA」を参照しています。

再生可能エネルギーの利用

水力・太陽光発電設備の導入
当社グループの古河日光発電株式会社は4つの発電所を保有し、水力発電による電力の供給を行っています。日光事業所の電力を100%賄い、銅条製品は水力発電を利用して生産されています。
また、自家発電設備として太陽光発電設備を設置し、発電した電力を自社において利用しています。これまでに、銅箔事業部門、国内グループ会社の古河AS株式会社や古河樹脂加工株式会社の各拠点や、南米・欧州、中国、アジアの6拠点において、太陽光発電設備を設置しました。さらに、オンサイトPPA方式での太陽光発電設備の導入にも取り組んでおり、これまでに三重事業所や中国、アジアの7拠点で導入しました。
再生可能エネルギー由来電力の利用
当社グループでは、電力会社が提供する再生可能エネルギー電力メニューの利用または非化石電力証書の購入により再生可能エネルギー由来電力の利用を行っています。国内の製造拠点においては当社の平塚事業所、銅箔事業部門、千葉事業所、横浜事業所、三重事業所において再生可能エネルギー由来電力を利用しているほか、グループ会社の28拠点においても再生可能エネルギー由来電力を利用しています。海外グループ会社においては南米・欧州およびアジア地域の10拠点において再生可能エネルギー由来電力を利用しています。
2024年度の電力消費量に占める再生可能エネルギー比率は、おおよそ単体と国内​グループ会社の合計で69%、海外グループ会社は16%で、連結合計では40%でした。今後も再生可能エネルギー利用比率向上に取り組んでいきます。

電力消費量に占める再生可能エネルギー比率の推移
(単体+国内グループ会社+海外グループ会社)

古河日光発電株式会社(栃木県)

古河日光発電株式会社(栃木県)

三重事業所 AT三重第2工場

三重事業所 AT三重第2工場

古河AS株式会社(滋賀県)

古河AS株式会社(滋賀県)

Trocellen S.E.A. Sdn. Bhd.(マレーシア)

Trocellen S.E.A. Sdn. Bhd.(マレーシア)

Furukawa FITEL (Thailand) Co., Ltd.(タイ)

Furukawa FITEL (Thailand) Co., Ltd.(タイ)

工場における省エネ

当社グループのエネルギー利用割合は燃料が約2割、電気が約8割です。エネルギー使用比率の高い製造工程で省エネルギーに取組み、生産工程の効率化、および高効率機器への更新、エネルギー収支を考慮した機器の高温部の断熱などの対策を実施しています。また、工場建屋や事務所の照明のLED化を計画的に進めています。2024年度は、熱の効率的利用(排熱の回収、熱処理炉の運用見直し、遮熱塗装など)、高効率設備の導入(空調機器の運用見直し、空調機・モーター・トランスの更新)、設備の効率的運用に取組みました。その結果、2024年度の総エネルギー消費量は原油換算で278千kLとなり、2020年度と比べて21%減少しました。

エネルギー消費量

物流におけるCO₂排出量削減

2024年度の当社における輸送量は103百万t・kmで、2020年度比で13%減少し、CO₂排出量は8%減少して12.6千t-CO₂eとなりました。輸送エネルギー原単位では、2020年度比で6%の増加となっています。引き続きモーダルシフトの推進、積載率の向上、共同配送の推進に取り組んでいきます。

輸送に係るCO₂排出量と原単位(単体)

インターナルカーボンプライシング(ICP)

2019年度からICP (Shadow price)の試算を開始しました。事業部門ごとの排出量を炭素価格によって可視化することにより、脱炭素化に向けて気候変動リスク回避への準備を促しています。
目標に達しない事業部門は、ICPがマイナスとなり仮想の評価損が生じます。逆に目標を達成した場合はICPがプラスとなり仮想の評価益が生まれます。四半期ごとの評価・掲示効果により、目標に達しない事業部門については再生可能エネルギーの導入計画を促進しています。

気候変動の物理的リスクに対する対策

当社グループは気候変動に関する物理的リスク(大雨、大雪等)に対して適切な管理・対策を行っております。また各事業所において気温上昇に対する空調対策を行っております。平塚事業所および日光事業所の取組みをご紹介します。

事業所 対象 対策
平塚 大雨
  • 雨水貯水池の整備
  • 排水系統の定期的な清掃や、バイパス設置による排水能力増強
  • 工場内浸水防止対策のための工場屋根の耐水工事実施
日光 大雪
  • 工場建屋の損壊防止対策として補強工事の計画実施
  • 工場屋根への積雪防止対策として電熱ヒータなどの融雪設備導入

イニシアチブ等への賛同

イニシアチブへの参画

当社グループは以下のイニシアチブへ参画し、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいます。

  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)
  • 気候変動イニシアティブ(JCI)
  • 環境省 脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動「デコ活」
  • 日本経済団体連合会 脱炭素社会「チャレンジ・ゼロ」

業界団体との連携

当社グループの日本拠点では、日本電線工業会と日本伸銅協会の2つの業界団体に所属しています。それぞれの業界団体が持つ、カーボンニュートラル行動計画において、業界団体ごとに目標を定めて取り組むとともに、当社グループとして矛盾のないように方針や戦略の整合を図っています。万が一、業界団体の方針が当社グループの戦略より著しく脆弱または矛盾が生じている場合は、 業界団体に対し整合を取るよう働きかけます。また、その整合が困難な場合は、脱退を検討するなど適切に対応します。

政府方針との整合

環境ビジョン2050に達成に向けて、温室効果ガス排出量削減の取組みを加速させるため、当社グループは環境目標2030を設定しています。この内容は、日本政府が示した「地球温暖化対策計画」(2025年2月改定)に沿った内容となっています。

社外からの評価・認定

  • CDP

    当社グループは、機関投資家を代表するCDPの質問書に対して、2008年度より気候変動について回答しています。CDPサプライチェーンプログラムを活用するお客様への対応としては、説明会などへ参加やセミナーの聴講を行いました。今後も環境情報開示の範囲を拡大し、信頼性を高めていきます。

  • SBT
  • 経済産業省 脱炭素社会「ゼロエミ・チャレンジ企業」

関連データ

  • バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量(スコープ1,2,3)
  • 温室効果ガス排出量(スコープ1+2)原単位
  • 輸送におけるCO₂排出量、原単位
  • エネルギー消費量、電力消費量、電力消費量に占める再生可能エネルギー比率
株式会社ディ・エフ・エフ, サステナビリティ推進室, 環境部