Environment 環境

気候変動

気候変動

基本的な考え方

当社グループでは、2050年を見据えた「古河電工グループ 環境ビジョン2050」を策定し、脱炭素社会への貢献としてバリューチェーン全体での温室効果ガス削減を掲げ、活動しています。特に、事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1,2)の削減や、再生可能エネルギーの利用、工場での省エネ、物流でのCO₂排出量削減に取り組んでいます。また、気候変動に関する物理的リスク(大雨等)に対する適切な対策を行っています。環境ビジョン2050で目指しているカーボンニュートラルに向け、温室効果ガス排出量削減の取組みをさらに加速させるため、2022年11月に環境目標2030をSBT1.5℃水準に引き上げ、2023年7月にSBT1.5℃の認定を受けました。今後もさらなる温室効果ガス排出量削減に取り組んでいきます。

目標と実績

当社グループでは、毎年目標値を定め、温室効果ガス排出量の削減、再生可能エネルギー比率の向上、エネルギー消費原単位の低減に取り組んでいます。

取組み

温室効果ガス排出量の削減

当社グループの温室効果ガスの排出は、主にエネルギー起源によるCO₂と六フッ化硫黄(SF₆)です。

2023年度の国内におけるCO₂排出量は、158千トン-CO₂eとなり、2017年度に比べて55.2%減少しました。海外におけるCO₂排出量は293千トン-CO₂eとなり、2017度に比べて36.3%の減少となっています。温室効果ガスの総排出量は、493千トン-CO₂eとなり、2017年度に比べて45.4%の減少となりました。

温室効果ガス排出量

事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1,2)

注1) 海外のCO₂排出係数について、購入電力は各国の公的な機関から公表されている排出係数やIEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)の各国係数などを使用し、購入電力以外は国内のCO₂排出係数を使用しています。

注2) CO₂以外の排出量は、地球温暖化係数(GWP: Global Warming Potential)を使用し、CO₂相当の排出量に換算しています。
 

CDP開示の温室効果ガス排出量

温室効果ガス排出量(スコープ1,2,3)

注) スコープ3は、カテゴリー1~8が上流、カテゴリー9~15が下流と位置付けられています。2018年度まではスコープ3の下流を算定していません。2019年度以降は、スコープ3の下流を算定し、最新の排出係数を利用しています。

再生可能エネルギーの利用

水力発電や太陽光発電の利用
当社グループの古河日光発電株式会社は4つの発電所を保有し、水力発電による電力の供給を行っています。日光事業所の電力を100%賄い、銅条製品は水力発電を利用して生産されています。また、当社の銅箔事業部門や三重事業所、国内グループ会社の古河AS株式会社や古河電池株式会社、海外グループ会社のメキシコ・中国・インド・ブラジルの生産拠点において、太陽光発電設備を設置し利用しています。このうち、三重事業所の太陽光発電設備はオンサイトPPAによるものです。今後も太陽光発電設備の設置について、継続的に検討を進めます。
再生可能エネルギー由来電力の利用
海外グループ会社では、ドイツ、イタリア、ハンガリー、フィリピンの生産拠点において、再生可能エネルギー由来電力を利用しています。日本においても、2021年4月から平塚事業所の一部で利用を開始しました。また、2022年4月以降は、銅箔事業部門の国内生産拠点、千葉事業所や三重事業所の一部、さらに、国内グループ会社では、4社が一部で再生可能エネルギー由来電力を利用しています。
2023年度の電力消費量に占める再生可能エネルギーの利用割合は、国内で57.2%、海外を合わせると、31.6%でした。今後も再生可能エネルギー利用比率向上に取り組んでいきます。

再生可能エネルギー・比率の推移(国内+海外グループ)

古河AS(株)本社が設置した太陽光発電パネル
(2022年1月稼働開始)

古河電池(株)が設置した太陽光発電パネル
(2022年4月稼働開始)

古河日光発電(株)の水力発電

工場における省エネ

当社グループのエネルギー利用割合は燃料が約2割、電気が約8割です。特にエネルギー使用比率の高い製造工程で省エネルギーに取組み、生産工程の効率化、および高効率機器への更新、エネルギー収支を考慮した機器の高温部の断熱などの対策を実施しています。また、工場建屋の照明は計画的にLED化を進めています。2023年度は、熱の効率的利用(炉の断熱強化や設備の更新)、高効率設備の導入(トランスの更新やインバータ化)、不稼働設備の停止など電力設備の効率的運用に取組みました。

エネルギー消費量

物流におけるCO₂排出量削減

2023年度の国内における輸送量は166百万トンキロです。
このうち当社は104百万トンキロで、2020年度比で11.8%減少し、CO₂排出量は7.3%減少して12.7千トン-CO₂eとなりました。輸送エネルギー原単位では、2020年度比で4.1%の増加となっています。引き続きモーダルシフトの推進、積載率の向上、共同配送の推進に取り組んでいきます。

輸送に係るCO₂排出量と原単位(古河電工)

インターナルカーボンプライシング(ICP)

2019年度からICP (Shadow price)の試算を開始しました。事業部門ごとの排出量を炭素価格によって可視化することにより、脱炭素化に向けて気候変動リスク回避への準備を促しています。
目標に達しない事業部門は、ICPがマイナスとなり仮想の評価損が生じます。逆に目標を達成した場合はICPがプラスとなり仮想の評価益が生まれます。四半期ごとの評価・掲示効果により、目標に達しない事業部門については再生可能エネルギーの導入計画を促進しています。

気候変動の物理的リスクに対する対策

当社グループは気候変動に関する物理的リスク(大雨、大雪等)に対して適切な管理・対策を行っております。また各事業所において気温上昇に対する空調対策を行っております。平塚事業所および日光事業所の取組みをご紹介します。

事業所 対象 対策
平塚 大雨
  • 雨水貯水池の整備
  • 排水系統の定期的な清掃や、バイパス設置による排水能力増強
  • 工場内浸水防止対策のための工場屋根の耐水工事実施
日光 大雪
  • 工場建屋の損壊防止対策として補強工事の計画実施
  • 工場屋根への積雪防止対策として電熱ヒータなどの融雪設備導入

外部との協働

イニシアチブへの参画

当社グループは以下のイニシアチブへ参画し、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいます。

  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)
  • 気候変動イニシアティブ(JCI)
  • 環境省 温室効果ガス削減「COOL CHOICE」
  • 日本経済団体連合会 脱炭素社会「チャレンジ・ゼロ」

業界団体との連携

当社グループの日本拠点では、日本電線工業会と日本伸銅協会の2つの業界団体に所属しています。それぞれの業界団体が持つ、カーボンニュートラル行動計画において、業界団体ごとに目標を定めて取り組むとともに、当社グループとして矛盾のないように方針や戦略の整合を図っています。万が一、業界団体の方針が当社グループの戦略より著しく脆弱または矛盾が生じている場合は、 業界団体に対し整合を取るよう働きかけます。また、その整合が困難な場合は、脱退を検討するなど適切に対応します。

政府方針との整合

環境ビジョン2050に達成に向けて、温室効果ガス排出量削減の取組みを加速させるため、当社グループは環境目標2030を改定しました。この内容は日本政府が示した「地球温暖化対策計画」(2021年10月)に沿った内容となっています。

情報開示と社外からの評価・認定

当社グループは、機関投資家を代表するCDPの質問書に対して、2008年度より気候変動について回答しています。CDPサプライチェーンプログラムを活用するお客様への対応としては、説明会などへ参加やセミナーの聴講を行いました。今後も環境情報開示の範囲を拡大し、信頼性を高めていきます。
当社グループは社外から以下の評価・認定を受けています。

  • CDP
  • SBT
  • 経済産業省 脱炭素社会「ゼロエミ・チャレンジ企業」

データ

株式会社ディ・エフ・エフ, サステナビリティ推進室, 環境部